富士通は17日、東芝にハードディスク駆動装置(HDD)事業を売却することで基本合意したと発表した。買収額は公表していないが、数百億円とみられる。山形県の子会社が手掛ける一部部品の製造部門は昭和電工に売却する。
HDDはパソコンなどに搭載される記憶装置で、価格の下落が激しい。富士通は不採算事業からの撤退で業績の早期回復を目指す。東芝は記憶装置の分野で市場占有率を拡大し、競争力を高めたい考えだ。
富士通はフィリピンやタイの製造拠点のほか、子会社「山形富士通」(山形県東根市)が手掛けるHDDの設計・開発部門を東芝に売却する。新会社を設立して売却対象の事業を移し、今年6月末までに東芝に新会社の株式の8割を譲渡する。
昭和電工には山形富士通が営むハードディスクの製造部門を6月までに譲渡する。昭和電工は富士通の事業の買収で、取引先の拡大や技術力の強化につなげる。
電機業界は世界的な景気悪化で経営資源の選択と集中が求められており、再編の動きが活発化しそうだ。