十六日正午ごろ、東京都新宿区信濃町三三のビル一階で、男性(74)がエレベーターの扉を開けて乗ろうとした際、かごがなく約五メートル下に転落した。男性は同日夜死亡した。
警視庁四谷署によると、ビルは地上五階、地下一階。エレベーターは手動で乗降口の扉を開け、かごが停止した階だけ扉を開閉できる構造になっていた。男性が転落した際、かごは五階に止まっており、四谷署はかごがないのに扉が開いた原因を調べている。
エレベーターは大阪府吹田市の三精輸送機が製造し、一九六三年に設置された。同社によると、点検は月二回しており、今月四日の点検では異常はなかったという。
エレベーターの乗降口には二重に扉があり、かごが各階に到着すると乗り場側にあるロックが解除され、手動で扉の開け閉めができる仕組みになっていた。かご側の扉も手動で開け閉めするタイプだった。
男性はビル近くのそば店から出前を配達に来たという。ビルで働く男性が、エレベーターの扉が開いているのに気づき、下を見て男性が倒れているのを発見した。
またエレベーター事故の原因を専門的に調査する国土交通省の事故対策委員会も同日、現場を立ち入り調査した。対策委は今月六日に発足したばかり。
ビルはJR中央線信濃町駅前にあり、葬祭業「帝都典礼」の本店などが入っている。