内閣府が16日に発表した2008年10−12月期の国内総生産(GDP)の大幅な悪化は、「100年に一度」とされる不況の深刻さを浮き彫りにした。製造業が中心の東海地方では、輸出、設備投資、個人消費の3本柱が総崩れとなる様相が一層、色濃く表れた。年明け以降も景気後退の底は見えず、先行きの不透明感は強まっている。
●相次ぐ納期延期
設備投資の急速な冷え込みで、中部地方に主力拠点を持つ工作機械業界は深刻な打撃を受けている。景気の先行指標といわれる工作機械受注額。その減少幅は「自動車産業の比ではない」(大手メーカー担当者)という。
中部経済産業局管内(愛知、岐阜、三重、石川、富山県)で、主要メーカー8社の昨年12月の総受注高は前年同月比で約7割減少した。影響は年明けからも拡大し、今年1月の受注高はさらに落ち込む可能性が高い。
「戦後最大の経済危機」の言葉通り、急激な回復は見込めない。オークマ(愛知県大口町)の広報担当者は「相変わらず納期延期の申し出がある」と嘆いた。
●売り場に異変
個人消費の落ち込みも止まらない。名古屋市内の主要5百貨店(松坂屋、三越、ジェイアール名古屋高島屋、名鉄百貨店、丸栄)の売上高は「トヨタショック」の影響で、昨年11月から3カ月連続で全社が前年割れ。海外ブランドなどの高額品や衣料品が苦戦している。
松坂屋本店(名古屋市)は11月以降、前年同月比で14−18%の売り上げ減が続く。担当者は「いかにこの地域が『トヨタ城下町』だったか痛感した」と、法人外商を中心とする急激な落ち込みに危機感を募らせる。
大手スーパー・ユニー(愛知県稲沢市)の幹部は「不況に影響されにくい食品さえ、2月に入ってから落ちてきた」と、売り場の“異変”に不安げだ。
●頼みのトヨタも
トヨタ自動車は、国内生産する自動車の半数以上を海外へ輸出している。2008年のグループ全体の国内生産は、前年比4・1%減の491万2千台。輸出は北米や中南米向けなどが伸びず、3・3%減の278万3千台と7年ぶりに減少に転じた。
特に08年10−12月期は、3カ月連続でほぼ全地域に向けた輸出が減少。輸出実績は10月が前年同月比10・8%減の24万台、11月が24・1%減の20万4千台。12月はさらに悪化して27・7%減の18万6千台と1999年以降では最大の下げ幅だった。
(中日新聞)