【プノンペン17日共同】1970年代後半のカンボジアで虐殺などにより約200万人を死亡させたとされる旧ポル・ポト政権の元幹部を裁く特別法廷(プノンペン)で17日、人道に対する罪などに問われたトゥールスレン政治犯収容所の元所長カン・ケ・イウ被告(66)の初公判が開かれた。公判では、同日までに受理された104人の遺族らの申し立てや、検察、弁護側などが申請した証人計48人の扱いを協議した。
政権崩壊から30年たったが、大虐殺の責任が国連支援の法廷で問われるのは初めて。元最高幹部の高齢化や健康問題で時間との闘いが続く中、今も謎が多い旧政権による大虐殺の真相解明や司法による「正義の実現」が期待される。
冒頭、裁判長が罪名や法廷の仕組みなどを説明。元所長は硬い表情で被告席に座った。傍聴した遺族ら約100人を含め、記者や関係者計約1000人が法廷に集まった。
検察側は、事前の共謀に基づく「共同犯罪計画罪」の適用を主張。被告側はポト派の非合法化で99年に拘束されて以降、拘置が続く元所長の釈放を要求した。罪状認否を含む本格審理は次回3月以降となる。
同収容所では1万5000人の政治犯や知識人らが拷問され、プノンペン郊外の処刑場(通称キリング・フィールド)に運ばれて殺害された。