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2009年02月17日(火) 23時20分

MS、「Windows Mobile 6.5」を発表--最新IE Mobileやアプリケーションストアに対応読売新聞

 Microsoftは現地時間2月16日、バルセロナのGSMA Mobile World Congressにおいて、同社モバイルOSの最新版を正式に発表した。Microsoftの最高経営責任者(CEO)であるSteve Ballmer氏は、基調講演で、「Windows Mobile 6.5」のプレビューを公開し、予測されていた通り、アプリケーションストアの「Windows Marketplace for Mobile」や、バックアップ・リストアサービスの「My Phone」、最新の改良が加えられた「Internet Explorer(IE) Mobile」ブラウザなど、いくらか新機能の追加が行われた。新たに追加された機能の詳細は、以下のようなものである。

My Phone

 My Phoneは、パスワードで保護されたオンラインサービス上に、自分の携帯電話の情報をバックアップできる無料のサービスである。My Phoneでは、アドレス帳、予定表、テキストメッセージなどの情報を、自動で同期およびバックアップ可能なサービスが提供され、万が一、携帯電話を紛失してしまったり、新規購入したスマートフォンへ移行したりする際に、手軽に情報のリストアが行えるようになっている。

 さらに、My Phoneでは、携帯電話からダイレクトに、自動で写真や動画をアップロードできる。現時点では、My Phoneは、招待制のベータサービスとなっている。

Windows Marketplace for Mobile

 Windows Marketplace for Mobileは、スマートフォン対応のモバイルアプリケーションの検索、閲覧、購入に特化したハブサービスとなる。Windows Marketplace for Mobileは、すべてのWindows Mobile 6.5搭載デバイスにプリインストールされ、自分の「Windows Live ID」を入力するだけで、携帯電話から、またはPCから、簡単にアプリケーションのダウンロードが行えるようになっている。Windows Mobile向けプログラムを作成する開発者は、Microsoftのセキュリティおよび互換性に関するチェックをパスすれば、Windows Marketplace for Mobileで自由にアプリケーションの配布が可能になる。

Internet Explorer Mobile

 Windows Mobile 6.5では、IE Mobileの大幅な機能向上が図られている。IE6に搭載されたエンジンをベースに開発が進められた、IE Mobileの最新版では、FlashおよびJavaScriptのサポートがなされており、ズームインおよびズームアウトが行えるスケールバー、表示されたウェブページの、どの部分を閲覧中かが一目で分かるナビゲーション機能など、より快適なブラウジングを実現する新ツールが装備されている。また、Microsoftは、IE Mobileがフライトの予約や映画鑑賞券の購入など、他のブラウザよりもさらに決済サービスに対応したブラウザに進化していると強調した。

新たなユーザーインターフェース

 Windows Mobile 6.5で、これまでと最も異なっているのは、新たなユーザーインターフェースの採用である。より「指先での操作に適し」かつ「ユーザーが中心となる」デザインに設計がなされており、重要度の高い情報が常に前面に表示されるほか、ナビゲーションエクスペリエンスの向上を実現している。

 新たなスタートメニューは、ハチの巣のような形状に広がっており、ボタンの押し間違いをすることなく、すばやくアイコンにタッチ可能となっている。アイコンの移動や並び替えは、好みに応じて自由に行える。スクリーンがロックされた状態からでも、不在着信、ボイスメール、新着メッセージ、直近のスケジュールなどをチェックして、重要度の高い情報は、一目で確認可能となっている。また、ホームスクリーンには、「Zune」のインターフェースが採用されている。

 なお、こうしたユーザーインターフェースは、主にタッチスクリーンに対応したものとなっているようではあるものの、Microsoftは、タッチスクリーン非対応の製品向けにも、引き続きWindows Mobile 6.5の提供を続け、「Windows Mobile Standard」の最新版もリリースして、顧客に選択の自由を差し伸べる予定であると語っている。

リリース時期および対応製品

 しかしながら、やや残念なニュースもある。Microsoftは、Windows Mobile 6.5へのアップグレードや、新たな搭載製品の提供が、2009年後半になることを明らかにしている。今回のWindows Mobile 6.5の発表と同時に、いくらか対応製品に関する発表も行われた。たとえば、LG電子は、今後もスマートフォンの主要OSとして、Windows Mobileの採用を継続する方針を示し、年内にWindows Mobile 6.5を搭載した新製品の発表を約束した。また、HTCは、新たに発表した「HTC Touch Pro2」および「HTC Touch Diamond2」が、Windows Mobile 6.5へのアップグレードに対応することを明らかにした。とはいえ、その頃も、(スマートフォン業界では)依然として、Microsoftにとって厳しい競争が続いており、同社がWindows Mobileの無償提供に踏み切るようなこともないだろう。

 Windows Mobile 6.5の新機能は、確かにOSのユーザビリティの向上につながりそうではあるものの、飛躍的な向上というよりは、非常に小さな一歩が踏み出されたに過ぎず、実際にリリースされる頃に、どれほどWindows Mobile 6.5がインパクトを与えるものとなるのか、興味深く見守っていきたい。(CNET Japan)

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http://www.yomiuri.co.jp/net/cnet/20090217nt05.htm