全国の公園で、遊び感覚で体力維持が図れる中高年向けの健康遊具が急増している。
大量退職した団塊世代の健康志向に加え、子どもの事故が多発した回転遊具の撤去なども影響。自治体も積極的に健康遊具を増設しており、公園の〈主人公〉は子どもから中高年層に移りつつある。
今月14日、大阪府八尾市の府営久宝寺緑地の一角にある広場。「コ」の字形に置かれた木材の上を、女性が両手を広げて腹部とお尻に力を込めながら歩く。「普段使わない筋肉を呼び覚ましましょう」とトレーナーが声をかける。
腹筋台や腕立て伏せ用の小さな鉄棒など約15基の健康遊具が並ぶ広場では毎月1回、運動教室が開かれ、60歳代を中心に20〜30人が参加。「体力つくり指導協会」(東京)の指導員が使い方を教え、トレーナーも養成。主婦(64)は「体重が落ち、元気に日常生活を送れるようになった」と喜ぶ。
公園にある健康遊具は、国土交通省が3年ごとに実施する調査によると1万5144台(2007年)で1998年調査の約3倍。「住民の要望を受けた自治体が増設し、老朽化した遊具の交換時期が重なったことも後押ししている」(同省公園緑地・景観課)といい、逆に、負傷事故が相次ぐ回転遊具は07年までの3年で3割も減ったという。
同協会は「中高年に健康遊具の適切な使用方法を知ってもらう必要があり、今後は指導者の育成も課題」としている。健康遊具の普及もあって、年代別の公園利用者は、71年に50%を占めていた「小学生以下」が07年は34%まで減り、「65歳以上」は6%から14%に伸びている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090217-OYT1T00658.htm