関東一都六県の公立病院の半数以上が自治体による直営方式の見直しを検討していることが、東京新聞のアンケートで分かった。公立病院の大部分は経営難に直面しており、総務省は来月までに改革プランの提出を求めている。具体的には非公務員型の独立行政法人化や民間病院への運営委託が多かったが、プラン策定の効果については、効率化に偏重する国の姿勢に反発する意見が目立った。 =関連<23>面
アンケートは都県立や市町村立の百二十一病院を対象に先月行い、76%の九十二病院から回答を得た。改革プランを提出期限の二〇〇八年度中に策定すると答えた医療機関は八十八病院(96%)。うち自治体直営方式の転換を検討している医療機関は四十九病院(56%)に上った。
転換後の経営形態については(複数回答可)、人事や予算などの面で弾力的な経営がより可能になる非公務員型の地方独立行政法人が最も多く三十二病院、指定管理者制度を利用した民間医療法人への運営委託が十一病院あった。他に公務員型の地方独立行政法人が五病院、民間譲渡を検討しているのは三病院だった。
また、他病院との再編や統合を検討しているのは二十四病院(26%)にとどまり、地域で再編化の協議があまり進んでいないことが浮き彫りになった。
改革プラン作成に関する自由記述では「医師の確保が不透明で先行きが読めない」「自治体レベルで解決できる問題ではなく、効果が期待できない」といった意見が目立った。
総務省は過疎地の不採算病院や、医師不足が深刻な産科や小児科へ交付税を重点配分する方針。その一方で、来年度から交付税の算定基準に、病床数だけでなく病床利用率も加味することを検討している。
<公立病院改革ガイドライン> 経営悪化に苦しむ全国の自治体病院は総務省の改革ガイドラインを基にした改革プランの提出を来月までに求められている。経営効率化は3年以内、再編や統合、民間への譲渡などは5年以内の実現を目指さなければならない。病床利用率などの数値目標を義務付け、利用率が3年連続で7割未満の公立病院には診療所への転換などの抜本改革を求めている。
(東京新聞)