国立循環器病センター(大阪府吹田市)で補助人工心臓「エバハート」の臨床試験(治験)を受けていた少年が死亡した問題で、同センターの調査委員会の上田裕一委員長(名古屋大教授)は15日、記者会見し「容体急変時のバックアップ体制に問題があった」との認識を示した。
死亡に直接つながったかどうかは不明だが、調査委は最終報告書で改善を求める。
調査委によると、主治医とは別に、一般の後期研修医に当たる心臓内科医が少年の受け持ち医になった。人工心臓装着から約2週間たった2007年春に容体が急変した際、連絡を受けた受け持ち医は重篤な状態と判断しなかった。
受け持ち医は人工心臓の患者を診た経験がなかった。急変したのは日曜日で、装着手術をした臓器移植部の医師がバックアップする体制も不十分だったという。
その後、少年は心肺停止となり緊急手術を受けたが、脳に重いダメージがあり、意識不明のまま約1年後の08年春に死亡。少年の遺族は治験継続に同意していないとして調査を求めていた。