大阪府警南署は15日までに、乾燥大麻を所持していたとして大麻取締法違反の現行犯で、京都大学法学部2年の谷口将隆容疑者(20)を逮捕した。大学生による大麻の所持、吸引、売買、栽培、密輸などが相次ぐ中、東大と並ぶ屈指の名門にもドラッグ汚染が及び、関係者はショックを隠せない。
規律を尊ぶべきエリート法学生が、大麻に手を染めていた。南署の調べによると谷口容疑者は14日午前4時40分ごろ、大阪・ミナミの繁華街「アメリカ村」にあるクラブで、女性客に手を出すなどし、ほかの客ともめていたという。
その後、仲裁を求め当事者らを含む5人で最寄りの交番を訪問。谷口容疑者が謝罪したため、トラブルについては和解した。しかし同容疑者が妙に落ち着きがなく、署員と目を合わせないなど挙動不審だったため、所持品を検査。するとズボンのポケットから乾燥大麻の入ったポリ袋(約0・8グラム)が発見され、同時に吸引用とみられる木製パイプも見つかった。
学生証を所持していたため同署が確認したところ、京大法学部に在籍していることが判明。谷口容疑者は、トラブルを起こしたクラブで顔見知りの男から大麻をもらったことを認め「自分で吸うために持っていた。3か月前に1度吸ったことがある」などと供述しているという。
相次ぐ大学生の大麻汚染。昨年10月には、学内で大麻を所持していたとして、法大生5人、慶大生2人が逮捕された。同11月には早大生が大麻草を栽培したとして逮捕され、別の早大生2人と東京理科大生1人がオランダから大麻を密輸しようとして摘発された。
関西でも昨年12月、同大が大麻所持で有罪となった女子学生を退学処分としたほか、起訴猶予となった男子学生4人を停学に。学内で大麻を密売し、約1000万円の収益を上げていた元関大生は懲役3年2月の実刑判決を受けている。
京大では昨年11月からホームページなどで「大麻・麻薬・覚せい剤・シンナーなどには“絶対NO”という自覚と行動をお願いします」と、学生に薬物使用の防止を呼びかけていた。
文学部4年の男子学生は「京大でもやはりあったのかという気がする」と汚染の広がりを心配。経済学部で学ぶ中国の男子留学生は「京大は勉強熱心な人が多いのにショックだ」と驚いた。同大学の教育・学生担当理事は「誠に遺憾。今後、一層、学生に対する指導の徹底を図ってまいりたい」とコメントした。
同署では、同容疑者に大麻を渡した男の割り出しを含め、入手経路や使用実態を調査している。
◆西日本最難関 京大法学部は1899年、東大法学部に次ぐ日本で2番目の帝国大学法科大学として設立され、今年創立110年。代々木ゼミナールの2009年度調べによると、入試2次試験の偏差値は68。東大文科一類(法学部進学が多数)の70に肉薄しており、文系学部では西日本最難関とされる。
現在まで約3万2000人の卒業生がおり、法曹界や官界にも多くを輩出。著名なOBに中坊公平(元弁護士)、大島渚(映画監督)、堀田力(元検事、弁護士)、平野啓一郎(芥川賞作家)らがおり、最近ではクイズ番組で強さを見せつけるお笑いコンビ「ロザン」の宇治原史規や、「鴨川ホルモー」が映画化される作家・万城目(まきめ)学が有名。
(2009年2月16日06時02分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090216-OHT1T00085.htm