国の重要無形民俗文化財で350年以上続くとされる伝統行事「見島のカセドリ」が14日夜、佐賀市蓮池町の見島地区で行われた。
笠をかぶり、白装束に蓑をまとって神の使いの鳥とされる「カセドリ」にふんした地区の独身男性2人が約2メートルの青竹を持ち、かがり火がたかれた熊野権現神社に走り込んで行事がスタート。割れた竹の先端部分を畳に打ち付け「バサバサ」と鳥の羽音に似せた音を出して、神事を執り行った。
続いて2人は地区の21戸を回り、悪霊を追い払うと共に、無病息災と五穀豊穣(ほうじょう)を祈願した。
地区の盛林寺住職の武藤隆信さん(56)は「地区ではカセドリを務めると一人前になったと認められる。この時期になるとまた立派な大人が増えたと感じます」と話していた。
見島地区は有明海の干拓地で、江戸時代に井戸水に海水が混ざり、疫病がはやって亡くなる人が多かった。蓮池城主の鍋島直澄が参勤交代の際に和歌山県の熊野権現を勧請して熊野権現神社を建立したところ、疫病が途絶えたことから、より一層の神の「ご加勢」を願って始めたのが「カセドリ」という。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00668.htm