乳幼児を連れた親が安心して出かけられるよう、おむつ交換や授乳の場を公共施設内で提供する自治体が埼玉県内で増えている。
昨年から導入している本庄市と新座市に加え、深谷市も2日から、「赤ちゃんスマイル・エリア(SA)」と銘打ち、サービスをスタートした。利用者の評判も「何かあれば気軽に寄れるのでありがたい」と上々のようだ。
深谷市は、図書館や公民館など市内43の公共施設でSAを始めた。各公共施設の個室などに以前から設けられていたおむつ交換や授乳の場所を、施設利用者以外の通りすがりの母親らにも広く提供する仕組みだ。既存の施設を利用するので予算は不要。市が事前調査を行い、各施設の協力を取り付けた。
利用可能な施設には、「授乳できます。ミルクのお湯あります。おむつ交換できます」と付記された「赤ちゃんSA」のポスターを張りPR。施設の職員が母親らを案内し、要望があればミルク用のお湯も提供する。
深谷市役所1階にあるSAは、カーテンで仕切られた2畳ほどの個室。おむつ交換台のほか、哺乳(ほにゅう)瓶を洗える流し台もある。生後6か月の三女のおむつ交換で利用していた、同市矢島の主婦小暮由季さん(31)は、「トイレだと狭かったり寒かったりするので、こういうベビーカーごと入れるような専用の部屋があると助かる」と話していた。
一方、本庄市と新座市は、「赤ちゃんの駅」の名称で同様の事業を展開している。
本庄市は昨年5月から市内34の公共施設でサービスを開始。現在は、住民の交流の場となっている「まちの駅」などの民間施設も加わり、計88施設が取り入れている。市役所庁舎内の赤ちゃんの駅では、昨年末までに28件の利用があったという。昨年11月から導入している新座市では、コミュニティーセンターなど市内37公共施設で利用できる。赤ちゃんの絵が描かれた黄色い旗が目印だ。
サービスを実施している3市とも、市の広報やホームページで利用を呼びかけているが、「まだ利用者が少なく、周知不足」としており、利用できる施設をさらに増やしながら活用促進を図りたい考えだ。
埼玉県少子政策課は、3市の取り組みについて、「子育て中の親が出かける際に便利だ。県内の他の自治体にももっと広がれば」と、普及に期待を寄せている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00036.htm