キヤノンの工場建設を巡る法人税法違反事件で、工事を受注した大手ゼネコン鹿島の架空発注先とされる福岡県久留米市の造園会社「内山緑地建設」が、大分市のコンサルタント会社「大光」などの脱税疑惑が発覚した後、「作業員が現場に行っていたことにしてくれ」などと鹿島に口裏合わせを依頼し、帳簿類も改ざんするなどの隠蔽(いんぺい)工作を行っていたことが、関係者の話でわかった。
鹿島から支払われた工事代金の一部は、内山緑地建設をトンネルに「大光」社長・大賀規久容疑者(65)側に渡っていたとみられ、東京地検特捜部は、大賀容疑者が証拠隠滅工作を主導していた可能性が強いとみて調べている。
大賀容疑者は鹿島に、下請けや孫請けに入れる業者まで指定し、請負会社への発注額まで自分で決めていた。内山緑地建設は2004〜05年、大賀容疑者の指示で、「キヤノン矢向事業所」(川崎市)や「大分キヤノン大分事業所」(大分市)などの造園工事で鹿島の下請けに入ったが、この中には実際には工事などを行わない架空の下請け契約も含まれていた。
この分の代金は、内山緑地建設から、さらに大阪市のコンサルタント会社社長・難波英雄容疑者(61)傘下のペーパーカンパニーに架空発注され、難波容疑者側が現金で手渡しするなどの方法で大賀容疑者側に流していたとみられる。
関係者によると、内山緑地建設は、07年3月に大光などが東京国税局の強制調査(査察)を受けた後、工事が架空だった事実を隠すため、鹿島側に口裏合わせを求めた。作業人員や費用などを記録する台帳にも、架空の契約通りに自社の作業員が働いていたように虚偽の記載をしたという。
同社は1953年設立で、民間信用調査会社によると08年7月期の売上高は約77億円。今回の事件では、取締役大分支店長の望月敏生容疑者(52)ら2人が大賀容疑者の共犯として逮捕された。内山緑地建設は「いずれの工事も適切に行われている」としている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00612.htm