16日夜に迫ったクリントン米国務長官の初来日を前に、国内の警備当局は準備に追われた。
同長官と面会する予定の拉致被害者家族は、問題解決に向けて期待を膨らませた。
警視庁では、オバマ政権発足後、初の米国閣僚の来日とあって、通常の外相クラスの来日時よりも多い警察官を配置した。18日までの来日中、都内の首都高速道路や一般道路で通行規制が行われるほか、同長官の訪問先に不審者が立ち入らないよう職務質問を強化している。数日前から、米国大使館(東京都港区)や米軍横田基地周辺にも警察官を重点配備している。
同庁幹部は「日本でも知名度が高いクリントン長官の訪問だけに、万一の事態にも対処できる態勢で臨んでいる」としている。
同長官が到着する予定の羽田空港でも、ターミナルビルを運営する「日本空港ビルデング」が不審者警戒のため、ビル内のデッキや吹き抜け部分など多くの人が集まる場所に警備員を配置するとともに、不審物を見つけたら速やかに報告するよう清掃員らに指示した。
一方、同長官との面会を予定する拉致被害者家族会の飯塚繁雄代表(70)は16日、「短時間でも面会してくれることは、拉致問題への世間の関心を呼ぶ大きなインパクトになる」と語った。「(昨年10月の)テロ支援国指定解除など、米国は時に我々の思いとは違う態度を取るが、再度、同盟国として協力してくれるよう要請する。まずは被害者家族の生の声を聞いてほしい。長官は女性で母親でもあるから、心を動かしてくれるのではないか」と期待を込めた。
同会の増元照明事務局長(53)も「今回の訪日はあまり時間がないだろうから、日本政府が拉致問題を長官にしっかりレクチャーして、理解を深めてもらってほしい」と祈るように話していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00471.htm