東京都文京区の自宅で2008年3月、両親と妻、子供2人の計5人を殺傷したとして、殺人と殺人未遂罪に問われた自営業江成征男被告(43)の初公判が16日、東京地裁であった。
江成被告は「すべて間違いありません」と起訴事実を全面的に認めたが、弁護人は「被告は犯行当時、精神障害により心神喪失の状態だった」として無罪を主張した。
検察側の冒頭陳述によると、江成被告はチラシ製作会社を経営していたが、07年秋ごろから得意先の廃業などで売り上げが減り、自殺を考えるようになった。犯行直前には得意先2社が経営を縮小することなどを知り、無理心中を決意。包丁で両親と妻を刺殺したほか、当時8歳だった長男と4歳の次男にも、胸などに重軽傷を負わせたとしている。
江成被告は事件後、自殺を図ったが、一命を取り留め、逮捕された。東京地検は約2か月間、江成被告の精神鑑定を行ったうえで起訴。公判では「精神障害の影響はあったが、善悪の区別が非常に難しくなっていたわけではない」と述べ、刑事責任は問えると主張した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00479.htm