キヤノンの工場建設を巡る法人税法違反事件で、大分市のコンサルタント会社「大光」社長・大賀規久容疑者(65)が2006年頃、キヤノンの研究施設の建設工事を請け負った準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)から数千万円を得ていたことがわかった。
大賀容疑者は受注が決まった後に資金を要求、西松側はキヤノンとの取引を円滑に進めるため、裏金で支払いに応じたという。
大賀容疑者が鹿島以外のゼネコンが受注したキヤノンの工事にも口をはさみ、利益を得ていた実態が浮かんだ。
東京地検特捜部は16日にも大光グループ各社など関係先を捜索し、鹿島などからの30億円を超すリベート提供の実態と脱税工作の全容解明を目指す。
西松建設の資金提供の舞台になったのは、キヤノンが06年に神奈川県平塚市に開設した次世代薄型ディスプレーの研究施設。西松建設は05〜06年、元請けの共同企業体として研究棟2棟の新築工事4件を計約218億円で受注した。
西松建設関係者などによると、研究施設の用地はもともと同社の所有地で、キヤノンに売却する代わりに建設工事を西松建設が請け負うことで交渉が進んでいた。ところが工事の受注が決まった後、大賀容疑者から「キヤノンの話は俺を通せ」などと、暗に「口利き料」を求められたという。
西松建設は当初、「第三者を関与させる必要はない」との立場だったが、大賀容疑者が御手洗冨士夫・キヤノン会長(73)との親密な関係を背景に、受注業者の選定などに影響力を持っているとの評判を知って方針を一転。当時の役員らが大賀容疑者との折衝にあたり、最終的に前社長の国沢幹雄被告(70)(外国為替及び外国貿易法違反罪で起訴)の了承を得て、数千万円を支払った。
西松建設では、海外で作った裏金を税関に無断で持ち込んだとして国沢前社長らが起訴されており、この資金も裏金から捻出(ねんしゅつ)されたという。同社関係者は「大賀容疑者に工事費を減額されたり、その後の受注を妨害されたりしないようにするためだった」としている。
西松建設総務部は「大賀容疑者への資金提供は把握していない。所有地をキヤノンに提供したので受注できた」とコメントしている。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00039.htm