「テロとの戦い」の最前線国アフガニスタンをいかに安定させるのか。今後数年間、国際社会の最重要課題であり続けるであろう難題に、日本も全力で取り組まねばなるまい。
政府の今年度第2次補正予算に301億円のアフガン支援費が計上された。警察改革や夏の大統領選への資金協力が柱である。
「今年は、アフガンの安定と復興のカギとなる年だ」。中曽根外相がアフガンのスパンタ外相との電話会談で指摘したことは、世界の共通認識にほかならない。
オバマ米大統領は、「アフガン重視」を掲げ、治安悪化に対応するため、約3万4000人の駐留米軍の大幅な増派を検討している。欧州各国も、国際治安支援部隊(ISAF)の増強やアフガン国軍の養成に取り組んでいる。
アフガンの安定を通じて国際テロの脅威を低減することは、日本自身の平和と安全につながる。アフガン情勢の将来は楽観を許さないだけに、日本も今後、支援の一層の拡充に努める必要がある。
日本は、米国、英国に次ぐ20億ドルの支援を表明し、15億ドルを実施した。治安、インフラ整備、教育、保健、農業などの各重点分野は、いずれも復興の重要な要素だ。より大きな効果を生むよう支援内容に知恵を絞りたい。
外務省は4月にも、職員2、3人をアフガン中部のチャグチャランに派遣する予定だ。現地に展開するリトアニア軍の地域復興チーム(PRT)と連携し、学校・診療所建設、職業訓練、識字教育などの無償支援事業を実施する。
派遣人員は少ないが、単なる資金援助にとどまらず、日本の人的支援の枠を広げるという意味は大きい。地元住民に役立つ支援事業を積極的に発掘してほしい。
政府は来月にも、閣僚級のパキスタン復興支援会議を東京で開催する方向で調整している。
国際テロ組織アル・カーイダがパキスタンのアフガン国境付近に拠点を確保している限り、アフガンの治安回復は望めない。
大規模な政府開発援助(ODA)を通じてパキスタン政府を支えるとともに、国境付近の部族がアル・カーイダと離反する方向に誘導することが戦略的に肝要だ。
人的支援を拡充する観点から、アフガンに自衛隊を派遣する選択肢も排除すべきではない。
現下の国会情勢で自衛隊派遣の新法を制定するのは非現実的としても、衆院選後には陸上自衛隊の輸送ヘリコプターなどの派遣を本格的に検討する必要がある。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090215-OYT1T00951.htm