巨額の利益を上げていることが問題となっている財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市下京区)が広報業務などを委託していた広告会社「メディアボックス」(同市西京区)について、同社の代表も務める大久保昇・協会理事長が「従業員はほとんどいない」と、協会の評議員に説明していたことがわかった。
複数の関係者は、同社の業務は協会の職員が行っていたと証言。
委託費は3年間で7億6000万円にのぼり、文部科学省は、同社が会社としての実体がないのに、委託費の一部を利益として得るシステムになっていた可能性があるとみて解明を進める。
協会は問題発覚後に開かれた今月6日の理事・評議員会で、同社の存在を初めて明らかにし、2006年4月〜08年12月までに計約7億6000万円で同社に広報・広告業務を委託していたと説明。同社の実態に関する質問に、大久保理事長は「従業員はかつてはいたが、今はほとんどいない」と回答したという。
協会関係者によると、広告制作などの実務は、メディアボックスが広告会社などに下請けに出す形になっていた。しかし、関係者は、協会が委託したとする広報に関する企画や、広告会社などとの交渉などの業務は、実際は協会職員が行っていたと証言。協会は、同社が広告会社などに支払う金額に数十%上乗せして、同社に支払っていたといい、その差額が同社の利益になっていたという。
広告会社の関係者らによると、打ち合わせは協会職員と行い、協会の担当者から「見積書や請求書は、メディアボックスあてに」と頼まれたこともあるという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090216-OYT1T00004.htm