田川市の田川文化センターで15日、「世界遺産 田川国際シンポジウム」が開かれ、市内の炭鉱遺産「二本煙突」と「竪坑櫓(たてこうやぐら)」の世界文化遺産登録に向けた課題などについて、議論が交わされた。
パネルディスカッションが行われ、国内外の専門家5人が発言。このうち、同市石炭・歴史博物館の安蘓(あそ)龍生館長は、官営八幡製鉄所に石炭を供給した筑豊地方の炭鉱経営者に対し、伊藤博文が資金援助していたエピソードを紹介。「田川の石炭と北九州工業地帯との関係は、九州・山口で発祥した近代化のストーリーの一つだ」と述べた。
また、国際産業遺産保存委員会事務局長のスチュアート・スミス氏は、同市の炭鉱遺産を含む「九州・山口の近代化産業遺産群」について、「小さな封建国家が経済大国になる契機や過程を理解するうえで参考になる」と指摘した。
このほか、ユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」の前事務総長、ディヌ・ブンバル氏は、市内に残る炭鉱住宅について「炭鉱労働者の暮らしぶりを実感できる素晴らしい遺産」と語り、産業遺産とともに関連施設も保存する必要性を強調した。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/fukuoka/news/20090215-OYT8T00857.htm