政府は16日午後、岩国市の米海兵隊岩国基地で2012年度に民間空港を再開する方針を決める。羽田と結ぶ東京便1日4往復を予定。全日空が既に就航検討を表明している。軍民共用は米空軍三沢基地(青森県三沢市)に次いで全国2例目で、岩国基地では約半世紀ぶりとなる。
河村建夫官房長官が同日午前の記者会見で「午後、正式発表したい。地元の要望に沿う形にする」と述べた。
官民で長年、要望してきた民空再開は、05年に日米両政府が1日4往復を合意。06年の在日米軍再編最終報告に盛り込まれ、閣議決定された。
井原勝介前市長が、米軍厚木基地(神奈川県)からの空母艦載機移転に反対し、一時は事実上凍結されたが、昨年2月に就任した福田良彦市長が艦載機移転に協力を表明して一変。当時の福田康夫首相が民空再開を約束、地方空港の新設抑制を掲げる国土交通省も前向きに検討してきた。
利用者数は広島県西部を含め約43万人、再開初年度の経済効果は約50億円を見込んでいる。
また、再開のための施設整備費を約110億円と試算。地元で負担する旅客ターミナルビル建設などを除く部分は国が負担し、空港の管理運営も国が担う「三沢方式」になるとみられる。