日本経済が戦後最悪とも言える深刻な不況に直面していることが裏付けられた。
内閣府が16日発表した2008年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)の速報値は、物価の変動を除いた実質で前期比3・3%減(年率換算12・7%減)と、大幅なマイナス成長となった。第1次石油危機の影響を受けた1974年1〜3月期(年率換算13・1%減)以来、約35年ぶりの水準で戦後ワースト2位となった。
実質GDPのマイナスは、4〜6月期から3四半期連続だ。マイナス幅は、国内の不良債権問題により日本が金融危機に陥った98年1〜3月期(7・5%減)をはるかに上回る。
08年10〜12月期は、米国が年率3・8%減、ユーロ圏も5・7%減とマイナス成長を記録している。米国発の金融危機をきっかけに、日米欧が同時不況に陥る中でも、日本のマイナス幅は際立って大きい。
最大の要因は、輸出の大幅な落ち込みだ。自動車や半導体などを中心に、7〜9月期と比べて13・9%も減少した。昨年9月に米証券大手リーマン・ブラザーズが経営破綻(はたん)した「リーマン・ショック」以降、欧米だけでなく新興国でも消費が急速に冷え込み、海外市場が縮小している。
輸出の減少に伴い、企業は生産活動を大幅に縮小するとともに、設備投資を前期と比べて5・3%減らした。さらに人件費を抑制する動きを強めたため、GDPの5割以上を占める個人消費も0・4%減となった。
一方、物価の動きを反映し、企業や家計の実感に近い名目GDPは、前期比1・7%減(年率換算6・6%減)となり、4四半期連続のマイナス成長となった。
先行きの見通しも暗い。企業の生産活動は09年1〜3月期も大幅に鈍化することが予想されている。実質GDPが、史上初の4四半期連続マイナス成長となる可能性は濃厚だ。
08年度の経済成長率は過去最悪だった98年度のマイナス1・5%を大幅に下回り2%台半ばまで下落する見通しだ。民間研究機関のほとんどが09年度も含め2年連続のマイナス成長になると予想している。
また、08年(1〜12月)の実質GDPはマイナス0・7%と、9年ぶりにマイナスとなった。
◆外需に頼る日本経済の弱点直撃◆
つるべ落としのような景気の悪化が止まらない。10〜12月期のGDPは実質、名目とも大幅なマイナス成長に陥った。これは日本のこれまでの景気回復が輸出に依存し続けてきた結果、世界経済が急減速するとその影響を大きく受けてしまうという「急所」をもろに突かれてしまったためだ。
10〜12月期の前期比マイナス幅である3・3%のうち、輸出から輸入を差し引いた「外需」の落ち込みによる影響がマイナス3%分にも達する。
日本の輸出は米国ほか、欧州、中国向けも急減し、ほぼ全地域向けで減少している。輸出がGDPに占める割合は1996年度の10%から07年度には約18%に達しており、こうした経済構造の弱点が、世界不況で鮮明に表れた形だ。10〜12月期成長率の落ち込み幅が他の先進各国に比べてひときわ大きいことが、日本の深刻な状況を象徴している。
企業や家計は投資や消費を急速に萎縮(いしゅく)させており、国民の不安心理は高まっている。景気がいつ底を打つのか先が見えない状況で企業の人員削減は今後本格化し、消費が一段と冷え込むのは必至だ。
政府・与党は今後、追加的な経済対策の検討に入る見通しだが、財政支出を含む政策を総動員して景気反転の糸口を探るスピード感のある対応が求められている。(経済部 中村宏之)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090216-OYT1T00253.htm