記事登録
2009年02月16日(月) 07時15分

景気対策法案にバイ・アメリカン新条項、制服など米国製限定読売新聞

 【ワシントン=岡田章裕】総額7870億ドル(約72兆円)の米景気対策法案に、「国土安全保障省が調達する制服など繊維製品は米国製に限る」という内容の新たな「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項が盛り込まれていることが分かった。

 法案には、公共事業で米国製の鉄、鉄鋼製品や一般工業製品の購入を義務づける「バイ・アメリカン」条項が盛り込まれたことで保護主義への懸念が国際的に広がっていた。米政府は、世界貿易機関(WTO)など国際的な協定に違反しない方針を示すことで、保護主義との批判を回避しようとしているが、今回の条項は、これとは別の条項で、米国への批判が高まる可能性がある。

 この条項は、空港の手荷物検査などを行う同省運輸保安局や、沿岸警備隊が調達する制服などが対象で、民主党のラリー・キッセル下院議員(ノースカロライナ州)が提案した条項で、2万人以上の雇用創出効果があるという。

 キッセル議員は、「景気後退により繊維産業は1年間で6万人の雇用が失われ、44の工場が閉鎖された」などとして、同条項の必要性を訴えていた。米国繊維産業は、安価な中国製品の流入で打撃を受けているとされる。

 ローマで開かれた先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は、世界的な保護主義の広がりを回避することを盛り込んだ共同声明を発表して閉幕した。しかし、各国で自国産業と雇用を守るべきだといった国内世論に押されて、保護主義的な政策を取る国が増えているのが実態で、貿易を細らせて、世界的な不況を長期化させる恐れがある。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090215-OYT1T00995.htm