中川財務・金融相がローマでの先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)後の記者会見でちぐはぐな受け答えをした問題について、政府は「国際会議そのものへの影響はなかった」として早期の沈静化を図る考えだ。
だが、中川氏の“失態”に対しては、野党だけでなく与党からも閣僚としての資質を問う声が広がっており、中川氏を続投させる考えを示した麻生首相は一層厳しい政権運営を迫られそうだ。
「風邪薬だったとしても自己管理ができておらず、大変な失態だ。国民も絶対に許さない」
民主党の鳩山幹事長は16日、日本BS放送の番組で、中川氏を痛烈に批判した。
民主党など野党は、中川氏の辞任・罷免要求が拒否された場合は問責決議案を参院で提出・可決し、その後は財務相が出席する衆参両院のすべての委員会で審議拒否するという強気の戦術に打って出る構えだ。「あまりにもひどい映像」(鳩山氏)がテレビで放映されたことから、強硬姿勢に出ても国民の理解は得られると踏んでいる。
一方、政府・与党は、「深酒でなく薬の副作用であれば世論は同情的だろう」(政府筋)として、中川氏を続投させる構えだ。16日の自民党役員会では、野党から問責決議案が出された場合も「無視」する方針を確認した。
中川氏は財務・金融相を兼ねる重要閣僚で、首相と関係が近い「盟友」でもある。現在、国会では定額給付金を含む2008年度第2次補正予算の関連法案のほか、09年度予算案を審議中で、「予算案の責任者には続投してもらわないと困る」(与党幹部)という事情がある。
自民党の細田幹事長も16日、国会内で記者団に対し、「十分静養して予算案の審議に臨んでいただきたい」と述べ、事態を収束させたい意向をにじませた。
だが、中川氏は1月28日の衆院本会議でも、財政演説で言い間違えを連発し、国会審議で混乱を招いたばかり。相次ぐ失態に、自民党からは「国益に響くから早く辞めた方がいい」(閣僚経験者)との声が出たほか、与党からも「あんな姿が世界に配信されたのはまずい」「(問責決議が可決されて)参院で審議が全部止まったら、辞めるしかない。今日の時点でもう辞めておくべきだった」と厳しい意見が広がっている。
参院で問責決議案が可決されたのは、1998年10月の額賀福志郎防衛長官(当時)と昨年6月の福田首相(同)に対する2件のみ。額賀氏は可決の約1か月後に辞任した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090216-OYT1T00924.htm