静岡地検は16日、振り込め詐欺事件で没収・追徴した約5400万円を被害者に返還する手続きを始めたと発表した。2006年に成立した被害回復給付金支給法に基づくもので、地検などによると、振り込め詐欺事件での適用は全国的に珍しいという。
今回の対象は、静岡、広島両県警が2007年、アダルトサイトの利用料名目で振り込ませた金をだまし取ったとして詐欺グループを摘発した事件の被害者約6000人。被害総額は約12億円に上るとみられ、主犯格の男(33)は昨年9月、東京高裁で組織犯罪処罰法違反(組織的詐欺)罪で実刑判決が確定した。
地検は全国の被害者に通知を郵送し、没収・追徴金約5380万円から郵送費などの必要経費を差し引いた後、被害額に応じて分配する。
被害回復給付金支給法の適用は、これまで東京地検や富山地検などで例がある。