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2009年02月16日(月) 18時02分

愛知県、神田県政でもカラ出張 「解決済み」説明と矛盾東京新聞

 不正経理問題の全庁調査を機に、あぶり出された愛知県の新たな裏金問題。4出先機関でカラ出張などにより捻出(ねんしゅつ)された裏金は、神田真秋知事が就任した1999年以降も現場で代々、引き継がれていた。「愛知に裏金はない」。神田知事が繰り返してきた説明は、またも根底から覆された。

 今回、発覚した裏金について、神田知事は16日午前の会見で「不正経理とは一線を画すべきもの。裏金が今日まで残っていたことは大変重大なことと考えている」と話した。

 不正経理問題で業者に公金をプールする「預け金」の存在が発覚した昨年10月、神田知事は「裏金と指摘されても仕方がない」と説明。今回、カラ出張による裏金が現在まで残っていたことに「極めて残念で遺憾。けしからんことだ」と会見後、語気を強めた。

 愛知県では鈴木礼治前知事時代の96年から97年にかけ、カラ雇用やカラ出張が相次いで発覚。しかし不正経理発覚後の昨年10月、県人事課は中日新聞の取材に「98年以降はカラ雇用、カラ出張とも確認されていない」と説明。いずれの問題も県人事課を中心に再発防止策を打ち出し、既に解決済みとの立場だった。

 今回の調査で裏金が見つかった4機関が保管していた預金通帳の名義は「県尾張事務所健康福祉課長」「東三河高等技術専門校」など役職名や機関名を使っており、裏金づくりが依然として組織ぐるみで続いていたことを示した。同専門校には「庶務課」名義の通帳もあり、カラ出張で捻出した裏金の専用口座だったという。

 カラ出張が発覚した3機関のうち、尾張福祉相談センターは99年度、東三河高等技術専門校は2000年度、東三河福祉相談センターは01年度まで、カラ出張を続けていたことも判明した。

 県は01年度まで出張旅費を現金決済していたが、02年10月から口座振り込みに変更。「制度的にカラ出張ができなくなった」(人事課)ために、3機関ともカラ出張を取りやめたとみられる。

◆PC186台、デジカメ207台

 愛知県の不正経理問題で、県の出先機関と病院事業庁が2002−07年度に、公金を業者にプールする裏金の「預け金」など架空発注を伴う3つの手口で不正購入したパソコンは、計186台に上ることが分かった。プリンター129台とデジタルカメラ207台も買っていた。

 01−08年度の全庁調査で判明。地方機関では職員一人にパソコン1台を配備するのが本庁より遅れたため、“現場の知恵”として、不正な会計処理で入手したらしい。地方機関でパソコン配備が完了する直前の02、03の両年度に不正取得が集中し、その数は6割近い109台に上った。

 全庁調査で判明した不正経理総額は14億8972万円。預け金は27機関で確認された。発注品と納入品が異なる「差し替え」、物品納入後にまとめて代金を払う「一括払い」を合わせた3手口による不正購入の総額は3億7124万円で、パソコン機器を含めて72万8127点に上った。

 県は16日午後、調査結果を正式に発表する。

(中日新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021690180207.html