愛知県の4つの出先機関で不明朗な現金や通帳が見つかった問題で、4機関が旅費の架空請求(カラ出張)や生産物の売上金を不正にプールするなどして2007年度までに計754万円の裏金をつくっていたことが県の調査で分かった。裏金は会議の飲食費や懇親会費、慶弔費、パソコンの修理費などにあてられ、現時点で計145万円が残されていた。
16日に会見した河村敏文・同県人事担当局長は「県民の信頼を裏切り申し訳ない」と謝罪した。カラ出張による裏金は計246万円に上った。
同県では1996年から97年にかけ、県監査委員事務局や県税事務所などでカラ出張やカラ雇用による裏金づくりが相次ぎ発覚。その後、県は全庁を挙げた再発防止に取り組み、神田真秋知事は「愛知に裏金はない」と断言してきたが、その陰で裏金がつくられ、ひそかに使われていた実態が明らかになった。
4機関は健康福祉部所管の尾張福祉相談センター(名古屋市)、東三河福祉相談センター(豊橋市)、産業労働部所管の産業技術研究所・食品工業技術センター(名古屋市)、東三河高等技術専門校(豊川市)。見つかった通帳は解約分も含め4通あり、裏金の残金は尾張福祉相談センターが通帳、ほかの機関は現金で保管していた。
裏金が最も多かった東三河高等技術専門校は、カラ出張のほか、生徒がつくった木工品の売上金などを県の収入とせずにプールする手口で06年度までに約553万円を捻出(ねんしゅつ)。昨年度までお茶やコーヒー代、プリンター代のほか、職員の懇親会にも使っていた。
尾張福祉相談センターは99年度まで149万円、東三河福祉相談センターは01年度まで45万円を、カラ出張で捻出し、食品工業技術センターは07年度まで吟醸酒の化粧箱の販売費6万円をプールしていた。
県は、使われた裏金約610万円のうち使途に問題があると認定した分と、残額145万円を合わせた約640万円(利息を含む)を県に返還する。県は「私的な消費は確認されなかった」と説明している。
(中日新聞)