世界遺産・原爆ドーム(広島市中区)の劣化状況を確認するため、広島市が約3年ごとに実施している健全度調査に合わせ、普段は立ち入り禁止の内部が16日、報道陣に公開された。
1992年以降、6回目の調査。観光客の少ない1−3月を選び、作業用の足場がドーム周囲に組まれた。作業員の落下防止用シートをメッシュにして、外観が見通せるよう配慮されている。
高さ約25メートルのドーム最上部付近の足場からは、平和記念公園が一望に。ぐにゃりと折れ曲がったむき出しの鉄骨、外壁に無数に入ったひび、地面に散らばったれんがの破片が、被爆時のすさまじい状況を物語る。
内壁側には補強用の鉄骨が張り巡らされ、雨水が壁面に染み込まないよう、ひさしや雨どいが取り付けられていた。
現場での作業は3月10日までで、構造部の鉄骨の腐食や変形のほか、建物が傾いたり沈下していないかを詳しく測定。結果は学識経験者らによる保存技術指導委員会に報告され、必要に応じ補修する。