カナダ北西部の北極圏で、春先にほとんど餌をとらない“断食状態”で暮らすホッキョクグマの数が、過去約20年間で2−3倍に急増したことが、カナダ政府と同国アルバータ大の研究グループの調査で16日までに明らかになった。
ホッキョクグマは、餌のアザラシを氷の上で捕るが、専門家は、地球温暖化の影響で狩りに適した厚い氷が減ったためとみている。周辺では、飢えのため硬い氷に穴を掘ってアザラシを探すという異常な行動も確認された。
研究グループは、血液中の物質の比率からクマのタンパク質摂取量を推定できることに注目。1985、86、2005、06年の春に集めたクマの血液、計436サンプルを分析した。
その結果、85年に断食状態にあったクマは全体の10%、86年は11%だったのに対し、05年には21%、06年は29%と目立って増えていた。
また、カナダ北西部の北極圏で05−07年にはクマが硬い氷に前脚で穴を開け、餌になるアザラシの子を探した跡が14カ所で見つかった。グループによると、ホッキョクグマは氷の上に積もった比較的軟らかい雪に穴を掘り、中に潜むアザラシを狙うのが普通で、過去にこのような跡はほとんど見つかっていないという。