政府、与党は十五日、景気悪化に歯止めをかけるため大規模な追加経済対策を打ち出す方針を固めた。「真水」と呼ばれる財政支出十五兆—二十兆円、事業規模百兆円超を想定。企業の三月期決算や、四月二日のロンドンでの金融サミット開催に先駆けてまとめ正式発表する。対策を実施するための二〇〇九年度補正予算の編成、成立の時期は、衆院解散・総選挙と密接に絡むため、麻生太郎首相が慎重に判断する。
衆院での〇九年度予算審議中に追加経済対策が具体的に浮上したことで、野党が反発し衆院通過日程などに影響が出かねない。予算成立直後から補正予算編成、成立を目指すことになれば衆院解散は当面先送りとなる。
政府は十六日、昨年十—十二月期実質国内総生産(GDP)速報値を発表する。年率で二けたのマイナス成長に落ち込むとの予想もあり、首相は速報値を受け、政府、与党に追加対策の検討を正式に指示する見通しだ。
首相を支える立場の安倍晋三元首相は九日、「(真水で)二十兆円超が必要」と発言。首相、安倍氏と十三日に会談した自民党の菅義偉選対副委員長は十五日の民放番組で「二十五兆円とか、いろいろな話があることは聞いている」と述べた。
政府内でこれまでに非公式に検討されてきた「事業規模百兆円」は、昨年八月の総合経済対策、十月の追加経済対策(生活対策)、十二月の生活防衛緊急対策の「三段ロケット」の事業規模合計七十五兆円(真水十二兆円)を大きく上回る。
追加対策は、雇用面も考慮し公共事業を大幅に増やす方針。空港、港湾、高速道路整備のほか、新幹線や羽田空港再拡張の計画前倒しを検討する。政策減税や、地球温暖化対策を景気浮揚に結び付ける日本版「グリーン・ニューディール」構想として太陽光発電導入推進策も盛り込む方向だ。
財源は建設国債発行で対応。不足分は赤字国債の追加発行も検討する。相続税を免除する特典が付いた無利子国債を発行する案も浮上している。