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2009年02月15日(日) 15時57分

核兵器廃絶へ新風を 米政権発足で被爆者訴え中国新聞

 【ワシントン15日共同】広島、長崎で原爆の惨禍を体験した三人の被爆者が十四日、ワシントンで開幕した「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」で各国の有識者を前に証言し、オバマ米政権発足を機に核兵器廃絶への「新しい風」を起こそうと訴えた。また、被爆地訪問や被爆者との面会を要請するオバマ大統領あての書簡を、民主党のクシニッチ下院議員に手渡した。

 証言したのは広島で被爆した岩佐幹三いわさ・みきそうさん(80)=千葉県船橋市、サーロー節子せつこさん(77)=カナダ・トロント市、長崎で被爆した道上昭雄みちがみ・しょうおさん(80)=名古屋市=の三人。市民のカンパで渡航が実現し、核兵器廃絶への方策を討議する同委員会に初めて被爆者が招かれた。

 岩佐さんは原爆投下時の惨状や精神、肉体両面の傷あとの深さを語った。その上で、オバマ大統領の就任で「未来に向けた新しい風が吹き始めたと期待している」と述べ、来年四—五月の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に向け、核廃絶への道筋を共に見いだしていきたいと訴えた。

 出席者によると、川口順子かわぐち・よりこ元外相と共に共同議長を務めるオーストラリアのエバンズ元外相は三人の話に「心を動かされた。この問題では人間性という観点を忘れてはいけない」と語った。

 同委員会は日本、オーストラリア両政府の主導で発足、昨年十月にシドニーで第一回会合を開いた。今回の第二回会合は十五日まで開かれ、次回NPT再検討会議に向けた提言の骨子を取りまとめる。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200902150178.html