「レストランでの食事中、近くの席にいたママたちのグループが次々と授乳を始めた。場所や周囲の目は気にならないの?」。中学生の子どもを持つ母親が、インターネットの掲示板「発言小町」に、こんな疑問を投げかけた。
「私はできない」「楽に授乳できる環境を作って」など、寄せられた感想は様々。関心の高さをうかがわせた。
母親にとって、外出先で授乳が必要になったときの対応は悩みの種。投稿者は、2人の子どもを完全母乳で育てた経験を持つという。授乳シーンを見かけたというのは、ベビールームもあるショッピングセンター内のレストラン。母親たちは胸が見えないよう布などをかけてはいたが、「お客様やスタッフに男性もいますし、個室ではありません」と、投稿者はとまどったようだ。
投稿者に同意する人には「授乳用のケープをしても恥ずかしい」「見ていて、ちょっと生々しい」との意見が目立った。また、「集団というのは行儀が悪い。そこに違和感を感じたのでは」との指摘もあった。
もちろん、好意的な声も。「胸を露出しているわけではないのだから」「気づいても見ないふりをしてあげて」との意見もあった。また、「ベビールームをすぐ使える状況ばかりではない」との指摘や、「おなかをすかせた赤ちゃんが泣き出すよりはいいのでは」という許容派もいた。「授乳は構わないが、レストランなど落ち着きを求めて行く場所では賛成できない」という30歳代の父親の意見もあった。
世代によっても感じ方に差があるようだ。「以前はよく見かけた光景」という声が比較的年齢の高い女性から出る一方で、20歳代前半の女性は「きょうだいも粉ミルクで育ったため、母乳をあげる姿を見慣れていないので驚いてしまう」と書き込んでいる。
授乳用の服を販売している「モーハウス」代表の光畑由佳さん(茨城県つくば市)は、「授乳は生活の一部。外出先でもすっと授乳できるような、子育てしやすい環境を整える必要はある」と話す。「ただし、外出とは、育児を社会に持ち込むこと。母親の側にも配慮は必要だ。逆に配慮されることばかりを周囲に求めていては、育児への風当たりも強くなってしまう」
確かに、授乳場所の有無を調べたり、外出前に授乳を済ませたりしても、赤ちゃんがおっぱいを欲しがることはある。外出先で授乳室が込んでいて、こっそり飲ませたという経験を語った女性は、「人目に付かない場所を探し背を向けて授乳しているぶんには、許してほしい」と訴える。
NPO法人「せたがや子育てネット」(東京)代表理事の松田妙子さんは、「社会での子育てのマナーについて、まだ議論が十分されていない。どんなときにどうすればよいか、親も周囲も主体的に考え、アドバイスし合えるような空気を作りたい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20090215ok04.htm