【ローマ14日共同】先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)がローマで開かれ、追加歳出と減税を含む財政出動について「各国の一斉行動」で合意したことを盛り込んだ共同声明を十四日午後(日本時間同深夜)に採択、閉幕した。国内需要の拡大や雇用創出のため政策を総動員、世界不況からの脱却を目指す。
G7が財政出動で協調姿勢を示すのは異例。二〇〇八年十—十二月期に大幅なマイナス成長が見込まれる日本も、追加経済対策の検討をいっそう迫られそうだ。
G7声明は、自国産業を過度に優遇する保護主義の動きについて、経済悪化を加速しかねないと警告した。
世界経済と金融市場の安定が「最優先課題」と位置付け、政策手段を総動員する決意を表明。実体経済の悪化は〇九年いっぱいは続くとして、景気の先行きに強い懸念を示した。
公的資金を使った金融機関への資本注入に加え、将来の損失拡大を防ぐため不良資産の切り離しなど「あらゆる追加的な措置」を取ることを約束。オバマ米政権が具体化を急いでいる追加金融対策を後押しする姿勢を示した。
財政出動では「弱者支援」や成長力強化につながる公共事業など、具体的な使途にも言及。「前倒しで迅速」に実施するとの原則も盛り込んだ。同時に、歳出拡大は原則として時限的な措置とするよう要請、「中期的な財政の持続可能性」にも配慮した。
中国の巨額の景気対策や人民元の上昇につながる相場柔軟化を歓迎。為替相場の「過度な変動」を懸念、市場を注視していく姿勢を維持した。
世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の早期妥結を目指す意思を再確認。国際通貨基金(IMF)への日本の一千億ドル(約九兆二千億円)の融資に対し、各国から歓迎の意向が示された。