「トトロの家」の愛称で親しまれていた杉並区阿佐谷北5の空き家(約70平方メートル)が14日未明、全焼したのを受け、地元住民や公園として整備を進めていた区の関係者からは、全国からファンが訪れる名所の焼失を惜しむ声が上がった。
JR阿佐ヶ谷駅から徒歩約15分の住宅街にあるトトロの家は、昭和初期に建てられた木造平屋建ての洋風住宅。庭には50種類もの草木が植えられ、アニメ映画監督の宮崎駿さんが「トトロが喜んで住みそうな『懐かしい家』」と著書で紹介したことから、名付けられたという。
2007年に所有者が転居したため、地元で保存を求める署名活動が起こり、約6300人分が集まった。区は08年6月、周辺の駐車場も含む計830平方メートルの土地と家屋を約4億円で買い取り、公園として10年春の開園を目指していた。
焼け跡を見て、署名活動に携わった阿佐谷北5丁目町内会の近藤利男会長(74)は「特徴のある瓦がすべて焼け落ちた。火災前の雰囲気を取り戻すのは難しい」と肩を落とした。山田宏区長は「貴重な建物が火災に遭い、極めて遺憾。区民の意見も踏まえ、トトロが住めるような公園に整備していければ」とコメントを出した。
区によると、空き家に設置された警報装置が不法侵入と煙を感知し、警備会社に通報が入ったという。区内では1月以降、ゴミなどが燃える不審火が10件以上相次いでおり、杉並署で関連を調べている。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20090215-OYT8T00103.htm