【イスラマバード=酒井圭吾】対テロ戦略見直しのため、アフガニスタンを訪問中のホルブルック米特別代表(アフガン・パキスタン担当)は15日、同国のカルザイ大統領と共同記者会見し、戦略見直し作業にアフガン政府も参加することで合意したと明らかにした。
同国は、スパンタ外相を中心とする政府代表団を3月にも米国に派遣する。
アフガンからの報道などによると、ホルブルック氏は、パキスタンとも同様の合意を交わしており、これでアフガンを加えた3か国での見直しが本格化する。オバマ米政権は、アフガンの旧支配勢力タリバンの掃討作戦などの見直しを、4月上旬の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議前に終える見通し。
また、ホルブルック氏は、8月に実施されるアフガン大統領選への支援を約束。さらに、同氏が「少なくとも月に1度」は同国を訪問することも決めた。カルザイ大統領も記者会見で、「具体的で中身のある会談だった」と述べた。
ただ、アフガンの地元報道によると、ホルブルック氏はカルザイ政権下で深刻化する汚職問題への懸念を強く表明したという。オバマ米政権は汚職や治安悪化、麻薬対策などで有効策を打ち出せないカルザイ政権と距離を置いている。
カルザイ大統領も会談前、テレビのインタビューで「オバマ大統領から一度も電話をもらっていない」などと不満を吐露した。同政権とオバマ米政権との関係が改善されるかどうかは不透明だ。
カルザイ大統領は、ブッシュ前米大統領の後押しで2001年に暫定政権議長に就任。大統領になってもブッシュ氏とは月2回は電話会談する関係だった。