世界的に経済危機が深刻化する中で、国連は風力発電などの再生可能エネルギーの開発や二酸化炭素排出量の少ない交通システムの整備などを通じ、経済成長や雇用の創出と、環境問題解決の両立を目指す「地球規模の緑のニューディール(グローバル・グリーン・ニューディール、GGND)」の実行を各国に働き掛けることを決めた。
十六日からナイロビで開く国連環境計画(UNEP)の管理理事会で具体的内容などを討議した上で、四月にロンドンである二十カ国・地域(G20)第二回首脳会合(金融サミット)に提示。G20が実行に合意するよう要請する。
関係者によると、UNEPは(1)先進国は今後二年間、国内総生産(GDP)の少なくとも1%を再生可能エネルギー開発などに回す(2)発展途上国はGDPの1%を、安全な飲み水供給や下水処理設備などに投資する—といった数値目標の提案を検討している。
GGNDの対象は再生可能エネルギーや運輸システムのほか、途上国で深刻な森林破壊の対策、有機農業の拡大など農業分野の事業、廃棄物のリサイクルなどにも及ぶ。
各国が集中的な投資を行うことで、地球温暖化対策などを強化しつつ、経済成長と雇用の拡大を国際協調で進める。国連はG20に対し、GGNDのための国別行動計画策定なども求めるという。
UNEPによると、米国のオバマ政権のほか、英国やドイツ、韓国、中国などが経済危機対策として再生可能エネルギーの開発や省エネへの大幅な投資をする計画を公表。日本も「緑のニューディール構想」策定を進めている。