【ワシントン15日共同】ヒラリー・クリントン米国務長官が16日、日本を皮切りにインドネシア、韓国、中国4カ国のアジア歴訪を始める。歴代国務長官は就任後初の外国訪問で欧州や中東諸国に出掛けることが多かったが、クリントン長官は史上初めて日本を選択。対アジア政策で日米同盟を最重視する姿勢を鮮明に打ち出す。
長官は日本滞在中、オバマ政権高官として初めて拉致被害者家族と面会。政権交代を経ても、米国が引き続き拉致問題解決への支援を惜しまないことをアピールする。
長官が「北東アジアの安定にとって最も深刻な課題」と位置づける北朝鮮の核問題は、日中韓各国との会談で主要議題に。6カ国協議は核検証問題をめぐって停滞しているが、同協議の枠組みを通じて事態打開に取り組むことを確認する。
クリントン長官は16日夜に羽田空港に到着。17日に中曽根弘文外相と会談し、在沖縄米海兵隊のグアム移転協定に署名。普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)のキャンプ・シュワブ沿岸部(同県名護市)への移転など、在日米軍再編の促進を目指す。
同日夜には麻生太郎首相と夕食を共にする一方で、民主党の小沢一郎代表とも会談。今秋までに行われる衆院選で民主党への政権交代の可能性が出てきたことを踏まえ、布石を打った格好だ。