日本原子力発電が、二〇一〇年中の運転停止を表明していた福井県敦賀市の敦賀原発1号機(沸騰水型軽水炉、出力三五・七万キロワット)について運転を継続して廃炉を延期する方針を固めたことが十四日、分かった。同社は十六日以降、安全性に問題はないとして福井県など周辺自治体に説明する予定。
新たに建設が予定されている3、4号機(各一五三・八万キロワット)着工の遅れが原因。1号機は一〇年三月に運転開始から四十年を迎えることになり、三十年以上が経過したほかの老朽炉の存廃論議にも影響を与える可能性がある。住民の中に廃炉の「延命策」に不安の声もある。
関係者によると、3、4号機の建設計画は国の原発耐震指針が改定されたため、運転開始がそれぞれ当初の〇九年度、一〇年度の予定から大幅に遅れた。
現在は一六年三月、一七年三月に営業運転が始まる予定。1号機の運転が停止するのは安定した電力供給の確保のめどが立つ数年後とみられる。
日本原電は〇二年五月に3、4号機の運転開始に合わせて1号機の運転を一〇年中に終了し、廃炉作業に入る方針を福井県に伝えていた。
同社は今後、1号機に対して耐久性など安全確認のため行った技術評価の結果を経済産業省に提出する予定。
1号機は一九七〇年三月に営業運転を開始した国内最古の商業炉。福井県にはほかに同年十一月に運転を始めた関西電力美浜原発1号機などがある。