日本小児科学会(会長・横田俊平横浜市立大教授)は15日、脳死の子どもからの臓器移植について、実施は時期尚早としていたこれまでの見解を見直す方針を固め、この問題を検討する委員会を発足させたことを明らかにした。
現行の臓器移植法では15歳未満は臓器提供者になれず、移植を必要とする子どもたちは海外に渡るのが事実上、唯一の道。
同学会は子どもを虐待した親が臓器提供を承諾し、虐待の証拠が隠されてしまうことを防ぐための対策が進んでいないことや、脳死判定の難しさなどを時期尚早とする理由に挙げてきた。
しかし虐待かどうかを見極める医学が進歩し、法律面での協議も進んできたことなどから、議論を進める段階になったとしている。
委員会には、小児科医以外に法律の専門家や患者家族らを加えることを検討。年内に結論を出したいとしている。
先進国では、移植に使う臓器を自国の提供者で賄うよう求める動きが強まっており、渡航移植は難しさを増している。一方、臓器売買が問題になっている国での日本の子どもの移植にも批判がある。都内での記者会見で横田会長は「これまでの学会の見解では、移植を必要としている子どもたちに十分な光を当てられない」と述べた。