平城京(奈良市)の貴族の邸宅とみられる敷地跡で、奈良時代末ごろの地鎮に使った仏具の香炉が見つかっていたことが15日分かった。発掘した奈良市埋蔵文化財調査センターによると、香炉を用いた地鎮の例は初めて。
屋敷などを建てる際に平穏を祈る地鎮は、奈良時代は陰陽道(おんみょうどう)によるものが一般的とされていたが、儀式の方法を記録した文献はなかった。今回の発見で仏教の影響が確認され、古代の地鎮の実態解明に役立ちそうだ。
敷地跡は、当時の基本的な土地区画の単位である1町(約120メートル四方)分。中央部や東端、南端の計3か所に地鎮の跡があり、敷地全体を取り囲むような形で祭祀(さいし)が行われたらしい。
香炉は直径約11センチ、高さ約5センチで奈良三彩の「火舎(かしゃ)」。中央と東の2カ所で出土し、中央の火舎の上には、何かを燃やした炭のような遺物が残っていた。また、高さ7—18センチの須恵器のつぼが3カ所に埋められていた。
香炉やつぼは、来月2日から同センターの発掘調査速報展で展示される。
(2009年2月15日17時00分 スポーツ報知)
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090215-OHT1T00243.htm