長野県内の農業法人に就職を希望する人を対象にした就職相談会が14日、同県松本市内で開かれた。相談会は昨年末にも開かれたが、今回の来場者は倍以上となる175人。
製造業などで職を失った人も目立ち、雇用情勢悪化で、「就職先」としての農業への関心が高まりを見せている。
相談会は県や農協などの主催で、県内22の農業法人がブースを設置した。来場者は外国人や県外から訪れた人も多く、職業も製造業の派遣社員や会社員、学生など様々だった。
京都市から高速バスで訪れた久保文人さん(30)は現在、飲食店でアルバイトをしている。20代のころに長野県川上村の高原野菜生産現場で5年間働いた経験があり、もう一度農業にかかわりたいと思い、相談会に参加した。「農業は長くつきあえる仕事」と考えているという。
愛知県豊田市から訪れた男性(56)は、自動車のエンジンを輸送する運転手だが、自動車減産で今月末で仕事の契約が切れるという。「農業で求人があると聞き、飛んできた。年齢的に厳しいが、何とか寮のある農業法人に就職したい」と切実な表情だった。
群馬県吉井町の男性(33)は、産業機械のモーターを製造する会社に勤めていたが、会社が昨年10月に倒産。「部品産業に未来が見えない」と製造業への再就職をあきらめ、「将来性を感じる」農業への就職を希望している。
一方、農業法人側も、現在の状況を人材確保の良い機会ととらえている。
長野県軽井沢町でトマトなどを生産する「柳沢農園」の柳沢俊彦さんは「初めて参加したが、冷やかしもなくみんな真剣」と印象を語った。同県信濃町でトウモロコシなどを生産する「ファームかずと」の多胡章弘さんは「今は、人材確保には追い風の時期。ただ、景気回復までのつなぎと考えている人に農業は務まらず、難しい面もある」と話していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090215-OYT1T00309.htm