長崎県佐世保市鹿子前町のレジャー施設「西海パールシーリゾート」で7月改装オープンする水族館に、少年期を同市で過ごし、ノーベル化学賞を受賞した下村脩・米ボストン大名誉教授にちなんだクラゲの展示コーナーが設けられる。
下村さんが緑色蛍光たんぱく質(GFP)の抽出に成功したオワンクラゲなど約20種類を展示し、西日本最大級のクラゲ施設になるという。
水族館は改修工事中で、「西海国立公園九十九島(くじゅうくしま)水族館」として新たに開館する。運営する同市の第3セクター「させぼパール・シー」によると、九十九島海域は海流が速く、砂地や岩場など多様な環境があることから多くのクラゲが生息している。このため新水族館(地下1階、地上2階、約5300平方メートル)ではクラゲを展示の目玉にすることを検討していたところ、昨年、下村さんのノーベル賞受賞が決まった。
クラゲのコーナーとなる「クラゲファンタジードーム」(仮称)では、ゆらゆらと水中を泳ぐクラゲを照明で浮かび上がらせ、幻想的な世界を楽しめる「癒やしの空間」を演出。天井のスクリーンに海を泳ぐクラゲの映像を映し出す。下村さんのノーベル賞受賞までの年表や写真なども並べ、下村さんが実際にクラゲ採取に使った網などについても、下村さん側に出展を要請するという。
先月中旬には、クラゲを飼育、研究する約30平方メートルのプレハブの仮施設が完成。オワンクラゲなど15〜20種類の飼育を始めた。
下村さんは京都府で生まれ、小中学校の一時期を佐世保市で過ごした。1951年に長崎医科大付属薬学専門部(現長崎大薬学部)を卒業、長崎大薬学部の助手を務めた。長崎県や佐世保市は、下村さんを名誉県民、名誉市民とすることを決めている。
クラゲの飼育などを担当している水族館の秋山仁さん(40)は「解説なども分かりやすくして、子どもたちにも関心を持ってもらえるような展示にしたい」と話している。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090214-OYT1T00584.htm