【ローマ=越前谷知子】先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)は14日午後(日本時間14日深夜)、世界不況からの脱却を目指し、雇用創出に向けた機動的な財政出動を促すとともに、景気悪化につながる保護主義的な動きに強い懸念を表明する共同声明を採択して閉幕した。
雇用と成長を支えて金融部門を強化するため、財政、金融両面で「各国が協調してあらゆる政策を総動員する」ことで合意。G7が結束して世界的な金融・経済危機を封じ込める姿勢を鮮明にした。
声明は、世界経済の悪化が2009年中も続くとの厳しい見通しを示し、急速に縮小する世界経済への先行きに懸念を表明した。金融システム不安が実体経済の悪化に拍車をかける「負の連鎖」を断ち切るため、金融政策では金融機関の資本増強のほか、不良資産の抜本処理など追加的な措置を講じる方針を確認した。
財政政策については、「前倒しで迅速な実施」を図る方針を示し、歳出拡大と減税を適切に組み合わせて景気刺激を図ることを強調した。同時に、歳出拡大は時限的な措置にとどめて中期的な財政規律の維持に配慮することも打ち出した。
さらに今後成長が見込まれる中国の財政出動を歓迎。G7以外の特定の国の財政政策などに言及したのは、G7声明では極めて異例だ。人民元の上昇につながる為替相場の柔軟化が中国や世界経済の均衡の取れた成長につながることも歓迎した。
自由貿易体制が「世界の繁栄に不可欠」との認識を確認し、保護主義的な通商政策を排除することでも合意した。景気悪化に伴って、関税引き上げや自国製品の購入を優先する動きが強まっている現状に対し、「新たな貿易障壁を設けることを抑制する」と訴えた。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090214-OYT1T01097.htm