【ローマ=越前谷知子】ローマで13日夜(日本時間14日未明)開幕した先進7か国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が14日採択する共同声明の原案が、明らかになった。
雇用不安が世界に拡大する中、各国に対し、雇用創出のための財政出動を求める。また、世界の貿易に打撃を与えかねない保護主義には強い懸念を表明する。
声明の原案によると、世界経済に回復の兆しが見えないため、G7各国に対し、内需の拡大と雇用創出のための財政出動を機動的に行うことを求めた。世界規模で企業の人員削減の動きが広がり、各国の失業率が上昇していることから、雇用不安の拡大に歯止めをかける決意を示す。
また、自由貿易体制堅持のため、政府などが自国製品を優先して調達したり、関税を引き上げたりする保護主義に強い懸念を表明するほか、金融危機以来、各国が金融市場の安定のため例外的な措置を含めて実施してきたことも確認する。
一方、中川財務・金融相はG7開幕直前の13日夕(日本時間14日未明)、1月に就任したガイトナー米財務長官と初めて直接会談し、世界的に広がりを見せる保護主義的な政策を排除することで一致した。
会談では、中川財務・金融相が、米国の政府調達で自国製品を優先する「バイ・アメリカン(アメリカ製品を買う)」条項に対し強い懸念を表明。保護主義排除が世界経済の安定につながるとの考えを強調した。これに対しガイトナー長官は、「米政府も(保護主義の強まりを)同様に懸念している」と応じた上で、米国の政策がWTO(世界貿易機関)協定に違反しないとの立場を改めて説明し、理解を求めた。
G7は14日午後(日本時間14日深夜)、共同声明を採択して閉幕する。
◆G7共同声明原案の骨子◆
▽各国は内需拡大、雇用創出のための財政出動を機動的に行う
▽各国が、例外的な措置を含めた金融市場安定化策を行ってきたことを確認
▽経済回復にプラスにならない保護主義の台頭に強い懸念
▽人民元は切り上げが望ましい
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20090214-OYT1T00511.htm