地域住民のニーズをくみ取り、行政の手が届かない分野の事業を展開するコミュニティービジネス(CB)が、多摩地区で活発化している。1月には、関係者が集まって初めてのシンポジウムが開かれた。CBの普及を推進している経済産業省は「地域における創業の機会や雇用拡大が期待できる」と話している。
「全国の中でもCBが進んでいる地域」と経産省が認めるのが多摩地区だ。
高齢者への給食サービスを行いながら安否を確認している立川市の団体や、国立市でカフェを運営している学生の団体、小平市で体験農園を手がけている農家など、多様なビジネスが展開されている。
例えば、小平市美園町の「カフェ ラグラス」の場合、松村三智子さん(56)が12年前、「大人が集まれる場を」と、知人と600万円ずつ貯金を出し合って開店した。地元農家から仕入れた野菜を使ったランチや手作りのケーキをそろえる。庭に約250種の草花を植え、3年前からは店内でタンゴなどを演奏するライブも開くようになった。
バリアフリーに配慮された店内は、車いすの高齢者や障害者、乳児をバギーに乗せた女性が情報を交換する憩いの場になっている。「地域とのつながりの深さを実感できる毎日」と、松村さんは喜んでいる。
今は1日あたり50〜80人が訪れる。10人の女性がパートで働き、人件費が年間売り上げの6割を占める。
シンポジウムは1月24日、三鷹市で開かれ、多摩地区でCBに取り組む8団体が集合した。観客も、定員を上回る約130人が参加する盛況ぶりだった。
165団体が加盟する「広域関東圏コミュニティビジネス推進協議会」(千代田区)の幹事で、NPO法人「Mystyle@こだいら」(小平市)代表理事の竹内千寿恵さんは、「多摩は、何かをやりたいと思っている意欲的な住民が多い」と指摘し、「今後は多摩地区全体のCBのネットワークを作っていきたい」と意欲的だ。
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyotama/news/20090213-OYT8T01142.htm