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2009年02月14日(土) 13時58分

谷中散策のスポット 4年休館 朝倉彫塑館 原形回帰へ東京新聞

 東京・谷中の「台東区立朝倉彫塑館」が改修工事のため、四月から約四年間休館する。日本美術界の重鎮だった彫刻家朝倉文夫(一八八三−一九六四年)のアトリエ兼私邸を寄贈された同館は、わずか約百三十平方メートルの中庭と屋上庭園(約百八十平方メートル)が国の名勝に指定されているユニークな施設で、熱心なファンが多い。改修後は朝倉が存命中の昭和三十年代後半の姿に復元される。 (中里宏)

 朝倉彫塑館は、約千三百八十平方メートルの敷地に鉄筋コンクリート三階建てのアトリエ棟(約五百七十五平方メートル)、木造二階建ての住居棟(渡り廊下含め約四百三十平方メートル)などがあり、庭園も含め朝倉が自ら設計・監督し、一九二八年から七年がかりで建てられた。

 三階部分まで高さ八・五メートルの吹き抜けとなっているアトリエ棟には代表作の「墓守」「大隈重信侯像」などのほか、猫好きで知られた朝倉の愛猫をモデルにした作品群も展示。朝倉が造りや素材にこだわり抜いた建物と庭園も鑑賞の対象となっている。

 年間三、四万人が見学する谷中散策の定番スポットだが、木造部分の耐震強度が不足していることが分かり、二〇〇七年九月から木造部分の立ち入りを制限していた。

 建物自体も国の登録有形文化財になっているため、木造部分は注意深く解体してくぎ一本まで記録し、耐震補強を施した上で復元する。朝倉の死後に増築された倉庫棟は撤去され、アトリエ本来の採光がよみがえるという。費用は八億円以上かかり、台東区は国庫補助事業として行えるよう国と協議中だ。

 区は「なるべく早く改修を終えて公開したいが、文化財のため計算できない部分があり、逆に公開が延びる可能性もある」としている。

 JR日暮里駅五分。月・金曜休館。電03(3821)4549。

(東京新聞)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009021490135821.html