不法滞在で国外退去処分が確定したため在留特別許可を求めていた埼玉県蕨市のフィリピン人、カルデロン・アラン・クルズさん(36)夫妻と長女に対し、法務省が長女しか在留を許可しない姿勢を示したことを受け、一家3人は13日、東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した。
一家は「3人で帰国することも、娘だけをおいて行くこともできない。家族で日本に残りたい」と訴えた。
日本生まれで日本語しか話せない中学1年の長女、のり子さん(13)は、目を潤ませながら会見に臨み、「私にとって日本は母国。将来のためにも勉強を続けるためにも家族3人で残りたい」と強調。友人と日本でダンススクールを開くという夢も「フィリピンに帰ったら、かなえられない」と硬い表情で話した。
在留特別許可を受けるため1万8000人以上の署名を集めたアランさんも「のり子が13歳じゃなければ私たちも帰る。でも(13歳では)まだ自分では何もできない」と話した。
一家は、同省から、3人で帰国するか、のり子さんだけ日本に残るか選択するよう求められていたが、同省は27日までにどちらかを選び、帰国日を決めるよう改めて求めた。
夫妻はそれぞれ1992、93年に他人名義の旅券で入国し、06年に一家で強制退去を命じられた。森法相はこの日の閣議後記者会見で「様々な事情を総合的に勘案して判断した結果、一家全員での許可はしないことと決定した」と話した。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090213-OYT1T00983.htm