東京都内で唯一、都電が一般道路上を走る北区内の約400メートルの区間で、ダンプ横転など軌道に絡んだ事故が、昨年4月からの10か月間で4件発生していることがわかった。
いずれもスリップ事故で、警視庁はレール上でタイヤが滑った可能性があるとしている。同区間の事故は、過去5年間は年2件程度だったが、ここにきて相次いでいる。
一歩間違えば大惨事にもなりかねず、道路を管理する都と同庁は、対策の検討に乗り出した。
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事故が頻発しているのは、北区のJR王子駅近くの明治通り。片側3車線で、センターライン側に都電荒川線の上下線が走っている。電車走行を妨げなければ、軌道上も一般車両の通行が認められている。音無橋交差点から王子駅にかけては急な坂となっている。
4件の事故はいずれも雨天時に発生。昨年4月18日夜、飛鳥山交差点近くの直線で、レジャー用多目的車(RV)が横転した。事故当時、電車は近くを走っていなかったが、RVが軌道をふさいだため、荒川線は1時間にわたり運転を見合わせた。滝野川署幹部によると、タイヤがレール上で滑った可能性があるという。
4か月後の8月下旬にも、約150メートル離れた音無橋交差点の右カーブで、大型ダンプカーがスリップして中央分離帯に乗り上げた。この交差点では翌9月末にも、ダンプカーがスリップして横転し、荷台の土砂が路上に散乱。いずれの事故でも、荒川線が3〜2時間運休した。
荒川線は1両編成で、車両のタイプにより定員は96〜64人。4件の事故は、一時運行見合わせにとどまっているが、ラッシュ時は満員近くになるため、電車と大型ダンプカーなどが衝突すれば、深刻な事故にもつながりかねない。
都と同署は昨年秋、スリップ防止策として、一部の路面に小石を吹き付け、滑りにくくするなどした。しかし、今年1月末には、再びトラックがスリップして中央分離帯に乗り上げる事故が発生。このため、都と同署では追加対策の検討を始めた。
現場周辺は、首都高中央環状線のトンネルのほか、ビルやマンションなどもあり、「道路上を都電が走る現在の軌道を変えることは難しい」(都交通局)のが現状。
都電運転士は「油断すると事故が起きかねない、最大の難所」と、警戒しながら運転しているという。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090213-OYT1T00600.htm