正月恒例の箱根駅伝で活躍し、今年4月からアイデムに入社するメクボ・モグス(22)=山梨学大=が、9日に母国・ケニアで運転中に自動車事故に遭い、同乗していた同社陸上部の木村翔コーチ(26)が意識不明の重体になっていることが12日、分かった。モグスらは、ケニア国内で行われるクロスカントリー大会に出場するため、故郷のキシから合宿地に向かう途中だった。モグスと同乗していた同大のオンディバ・コスマス(19)は、打撲程度の軽症だという。
事故が起きたのは、ケニア中西部のモロ。現地時間9日午後6時30分(日本時間10日午前零時30分)ごろ、モグスが運転する自動車が、上り坂で故障した大型車を追い越そうとした際、対向車と衝突した。モグスと同乗していたコスマスは、軽い打撲程度の軽症だったが、助手席に乗っていた木村コーチは頭を強打した。救急ヘリでナイロビの病院に搬送されて治療中だが、血圧、脈拍は安定しているものの、意識不明の重体だという。
モグスは丸亀ハーフマラソンで優勝した1日、4月から専属コーチとなる木村氏らとともにケニアに帰国。故郷・キシで両親を紹介するなど、約1週間休養し、同国で行われるクロスカントリー大会出場に向けた合宿を行うため、ナクルに向かう途中だった。箱根駅伝で4年連続「花の2区」に出場。今年は、兄のヘネリ・ネプトさんがマラリアで前年11月に38歳で亡くなった悲しみを乗り越え、2年連続で区間新記録を樹立したが、またも不幸に見舞われた。
10日早朝に連絡を受けた山梨学大の上田誠仁監督(50)は「電話で話したが、本人は取り乱して泣き崩れていた。木村コーチにも事故には気をつけるように伝えていたが…」と絶句。同コーチの両親、アイデムの担当役員らと12日、現地に向かった。
06年にも山梨学大初の留学生ランナー、ジョセフ・オツオリさん(享年37歳)がケニア国内で事故死している。モグスは昨年、ケニアで免許を取得したばかりで、日本国内では運転していなかった。上田監督は「世話をしたい気持ちが強かったのかもしれない」と話した。
木村コーチは、山梨学大の長距離選手として、箱根駅伝の予選会などに出場。同級生のオンベチェ・モカンバ(08年退社)の専属コーチとして05年にアイデムに入社。今季からモグスを迎え、二人三脚でマラソンでのロンドン五輪出場を目指す矢先だった。
(2009年2月13日06時02分 スポーツ報知)
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