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2009年02月13日(金) 06時02分

元時津風親方は暴行指示認めず…力士暴行死事件初公判スポーツ報知

 大相撲時津風部屋の序ノ口力士、時太山(本名・斉藤俊さん、当時17歳)が暴行を受け死亡した事件で傷害致死罪に問われた元親方の山本順一被告(58)の初公判が12日、名古屋地裁(芦沢政治裁判長)で開かれた。

 注目の初公判には81枚の傍聴券を求め573人が早朝から長蛇の列を作った(昨年10月の兄弟子の初公判は491人)。山本被告は10キロ以上も激ヤセした姿で、口元に薄笑いを浮かべて出廷し、罪状認否で起訴事実を否認。暴行はすべて兄弟子独自の判断だったと主張した。検察側の冒頭陳述中には18回も首を振るなど、ふてぶてしい態度を繰り返し、かつての親方の威厳はみじんも見られなかった。公衆の面前に出るのは07年10月に相撲協会を解雇された理事会以来。失った体重が時の長さを象徴していた。

 傍聴席の斉藤さんの父・正人さんの姿を見つけても会釈しただけ。昨年10月に兄弟子たち3人が初公判で深々とおじぎをした姿勢とかけ離れた態度からは、反省の心は見られない。裁判長に職業を聞かれると「無職です」。あの双葉山が再興し、角界の名門とうたわれた時津風部屋を率いた師匠は、淡々と答えた。

 罪状認否で山本被告は起訴事実を否認。「大切なお子さんを亡くしたのは私の管理不足ですが、私が弟子に暴行を指示したことはありません」。一連の暴行で認めたのは、死亡前日の6月25日、夕食中のビール瓶での殴打と鉄砲柱への緊縛、そして死亡当日のジェットノズル付きホースでの放水だけだった。あとはすべて兄弟子が独自の判断で暴行したと主張。傷害致死ではなく監督不行き届きによる業務上過失致死罪を訴えた。

 今後、公判では兄弟子3人ら20人が証人として出廷する。13日には早くも現役の時津風部屋力士が検察側証人として出廷し、師弟対決が法廷で展開される。

 ◆力士暴行死事件 大相撲時津風部屋の力士・時太山が2007年6月26日、愛知県犬山市の部屋の宿舎から運ばれ、搬送先の病院で死亡した。愛知県警は当初、事件性はないと判断、検視官も立ち会わなかった。死因に不審を抱いた新潟の両親が解剖を依頼し、新潟大などの鑑定で、暴行による多発外傷性ショックと判明。日本相撲協会は同年10月、当時の親方を解雇処分にした。県警は昨年2月、制裁目的の暴行が原因として、傷害致死容疑で元親方と兄弟子3人の計4人を逮捕した。名古屋地裁は12月、兄弟子3人に執行猶予付きの有罪判決を言い渡した。

(2009年2月13日06時02分  スポーツ報知)

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090213-OHT1T00088.htm