鳩山総務相は13日午前、地方自治法に基づき、石原慎太郎・東京都知事に対し、住民基本台帳ネットワークシステムに参加していない東京都国立市に、住民基本台帳法の違法状態の是正要求を行うよう指示した。
国立市も住基ネットに接続するよう求めるものだ。総務省によると、都は是正要求を近く行う見通しで、国立市の対応が焦点になる。
知事から是正要求を受けた市町村長は、違法を是正するための法的義務を負う。是正要求に不服がある場合は、総務相に対し審査を申し出ることができる。
国立市が住基ネットに参加すれば、不参加は福島県矢祭(やまつり)町のみとなる。総務相は福島県にも、近く同様の指示を行う方針。地方自治法に基づき、総務相から都道府県知事へ是正要求指示を出すのは今回が初めて。
住基ネットは2002年8月に稼働を始めたが、国立市は同年12月、「個人情報の保護措置が十分ではなく、情報漏えいの危険性に比べ、市民のメリットが明確ではない」などとしてネットから離脱した。都は03年と08年、地方自治法に基づき、是正勧告を2度行ったが、強制力がないため、不参加の状態が続いていた。
国立市の関口博市長は総務相の方針について、「東京都から、是正要求の正式な文書が届いた段階で対応を考えたい」としている。住基ネットを巡っては、憲法が保障したプライバシー権を侵害するなどとして、大阪府守口市や大分市など各地の住民らから、訴訟が次々と起こされていた。
しかし、最高裁が08年3月に「技術上、法制度上の不備から、住民の情報が行政目的の範囲を逸脱して第三者に漏れる危険は生じておらず、プライバシー権は侵害しない」との判断を示し、住基ネットを違憲とした大阪高裁判決を破棄した。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090213-OYT1T00503.htm