検索大手グーグルが運営するインターネット上でのスケジュール管理サービス「グーグルカレンダー」で、個人情報が誤って公開されてしまうケースが相次いでいる。
読売新聞で確認できただけで、九つのカレンダーで1500件以上のスケジュールが誰でも閲覧可能な状態になっていた。同社は今月上旬、こうした事実を利用者に説明しないまま、他人のスケジュールを検索できる機能を廃止したが、アドレスさえ入力すれば閲覧できる状態は今も続いている。
誤って公開…裁判日程、患者名、携帯番号などグーグルカレンダーは、ネット上でスケジュール管理できる無料サービスで、登録IDなどを打ち込めば、自宅のパソコンや出先の携帯電話でも自由に利用できる。データは自分のメモ代わりに使うばかりでなく、仲間同士でスケジュールを共有することもできる。
初期設定画面には「特定のユーザーと共有」と「公開」という項目がすぐ近くにあり、これらの項目にチェックを入れなければ複数の端末での利用や、仲間同士でのデータ共有ができないと錯覚しやすい。ところが、「公開」を選ぶとすべての利用者が閲覧できる状態になってしまう。
徳島県内にある病院の男性外科医(39)の場合、昨年4月から患者名や病名などを記載したスケジュール約150件を誤って公開。中には「人工肛門」などの手術名を患者名と共に公開してしまったケースもあった。病院では「個人用のスケジュールだったので、まさか他人が見られるとは思わなかったようだ」と釈明しているが、患者にどう対応するかは未定という。
東北地方の法律事務所では、30歳代の弁護士が、依頼人の名前や打ち合わせ予定、裁判日程などを公開。個人を特定できる情報も交じっており、この弁護士は「事務所内だけで共有していたつもりだった。ネット上に情報を預けるのは危険だ」と悔やむ。
このほか、九州のある企業ではボーナス支給日を、都内のネイルサロンでは、「客に不満な顔をされた場合」の料金対策など内部の連絡内容などを、それぞれ閲覧できる状態にしてしまった。
グーグルは今月初旬、キーワードを打ち込むだけで他人のスケジュールを検索できる機能を中止したが、「具体的な個人情報の漏えいについては把握していない」(同社日本法人の舟橋義人・広報部長)として、利用者に変更の理由などは説明していない。アドレスを直接入力すれば現在も閲覧は可能なため、今でも気がつかないまま公開設定にしている利用者は、情報を流出させる危険が続いている。
グーグルを巡っては、地図情報サービス「グーグルマップ」で昨年、家庭訪問用に作られた地図から児童や生徒の自宅情報などが流出するトラブルが発覚したばかりだった。
舟橋広報部長は、検索機能の廃止について「利便性を高くするための改良」と説明している。
http://www.yomiuri.co.jp/net/security/ryusyutsu/20090213nt0d.htm